試験の背景と目的
世界の糖尿病患者は2017年には4億人以上で、2045年には6億93百万人に増加すると推定されており世界的な課題なっています。糖尿病には自己免疫性疾患であるⅠ型糖尿病と代謝性疾患であるⅡ型糖尿病があります。患者数はⅡ型糖尿病の方が多く、Ⅱ型糖尿病の発症には生活習慣を含む環境要因が大きく寄与すると考えられています。そのため、効果的な予防法を開発するために、発症に寄与する要因を明らかにすることが重要な課題となっています。
私たちは、これまで千葉県銚子市や三重県(桑名市、紀北町、菰野町)で疫学研究を行ってきました。その経験から、これらの地域は類似した生活環境でありながら、40~59歳女性のHbA1c高値者(5.6%以上)の割合は銚子市(40%)、紀北町(16%)、菰野町(29%)、桑名市(47%)と大きな違いのあることを明かにしてきました。しかし、この違いの原因がわかりません。
一方、人間の腸内細菌叢は出生から3年程度までに生育環境の影響を受け個人に特有のパターンが形成され、以降は終生にわたって個人に固有のパターンが維持されますが、摂取する食品の影響も受けることが知られています。
そこで、本研究は腸内細菌叢(およびそれに影響を及ぼす食生活)が耐糖能(HbA1c)に影響を及ぼしている可能性を検討することを目的とします。
本研究により、腸内細菌叢と耐糖能との関連について新たな知見が得られると期待しています。
背景と目的を動画でご確認ください